離婚時の財産分与で後悔しないために!対象となる財産と押さえておくべきポイント


「まさか自分が離婚することになるなんて……」。そう思っていても、人生何があるかわかりません。もしもの時に備え、離婚に伴う財産分与について正しい知識を持っておくことは、あなたの未来を守る上で非常に重要です。特に、結婚生活を共に築き上げてきた25歳から35歳くらいのあなたにとって、この問題は決して他人事ではありません。

今回は、離婚する際にどのような財産が「分与の対象」となるのか、そして、あなたが損をしないために知っておくべきポイントを詳しく解説していきます。

財産分与とは?

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で協力して築き上げてきた財産を、離婚時にそれぞれ公平に分け合う制度のことです。これは、夫婦のどちらかの名義になっているかに関わらず、実質的に夫婦の協力によって形成された財産であれば対象となります。

夫婦が共同生活を送る中で、一方が外で働き、もう一方が家事や育児を担うなど、その役割は様々です。しかし、どちらか一方の貢献だけで財産が形成されたわけではありません。家事や育児も、財産形成に貢献したとみなされるため、専業主婦(主夫)であったとしても、財産分与を請求する権利があるのです。

どんな財産が「分与の対象」になるの?

「具体的に、どんなものが財産分与の対象になるの?」と疑問に思うかもしれません。ここでは、代表的な財産をいくつかご紹介します。

1. 現金・預貯金

銀行の普通預金や定期預金はもちろん、タンス預金なども含め、夫婦のどちらの名義であるかに関わらず、婚姻期間中に貯められた預貯金はすべて財産分与の対象となります。たとえ夫のヘソクリであっても、それが婚姻期間中に得た収入から貯蓄されたものであれば、分与の対象となる可能性があります。

2. 不動産(自宅、土地など)

現在住んでいる自宅や、夫婦で購入した土地、マンションなども、財産分与の大きな対象となります。住宅ローンが残っている場合は、その残債も考慮に入れた上で、不動産の評価額に応じて分与の方法が検討されます。名義が夫単独になっていても、夫婦の協力によって購入・維持されてきたものであれば、共有財産とみなされます。

3. 有価証券(株式、投資信託など)

株式や投資信託、債券など、婚姻期間中に取得した有価証券も財産分与の対象です。評価額は変動するため、離婚時の時価を基準に計算されるのが一般的です。

4. 退職金・年金

「退職金や年金も!?」と驚かれるかもしれませんが、これらも財産分与の対象となり得ます。

  • 退職金: 婚姻期間に対応する部分の退職金は、将来的に支給されるものであっても、財産分与の対象となる可能性があります。ただし、まだ支給されていない退職金の場合、支給される時期や金額が不確実であることから、具体的な分与方法については個別のケースで判断が異なります。
  • 年金: 年金分割制度というものがあり、婚姻期間中の厚生年金や共済年金については、一定の範囲で分割が可能です。これにより、離婚後の生活保障に繋がる場合があります。

5. 自動車、家財道具など

自動車や高価な家電製品、家具なども、婚姻期間中に購入されたものであれば、財産分与の対象となります。これらの財産は、個々の価値は小さいかもしれませんが、総額で考えると無視できない金額になることもあります。

6. その他

上記以外にも、生命保険の解約返戻金、ゴルフ会員権、夫婦で事業を営んでいた場合の事業用財産なども、対象となり得ます。

「特有財産」は分与の対象外

ここまで財産分与の対象となる財産について見てきましたが、反対に「特有財産」と呼ばれるものは、財産分与の対象にはなりません。特有財産とは、夫婦の一方が婚姻前から持っていた財産や、婚姻中であっても夫婦の協力とは関係なく取得した財産のことです。

例えば、

  • 結婚前に貯めていた預貯金
  • 実家からの相続によって得た財産
  • 親族からの贈与によって得た財産

これらは、夫婦の協力によって築かれた財産ではないため、原則として財産分与の対象外となります。ただし、特有財産であっても、他方の貢献によってその価値が維持されたり、増加したりした場合には、一部が分与の対象となる可能性もあります。

財産分与の割合と話し合いのポイント

財産分与の割合は、原則として夫婦それぞれが2分の1ずつとされています。これは、収入の多寡や家事・育児の分担状況に関わらず、夫婦の協力関係を公平に評価するという考え方に基づいています。

しかし、実際の財産分与では、以下の点を考慮して話し合いが進められることが多いです。

  • 財産の特定と評価: まずは、夫婦の財産をすべて洗い出し、その価値を正確に評価することが重要です。特に不動産や有価証券などは、専門家による評価が必要になる場合もあります。
  • 負債の扱い: 住宅ローンや車のローンなど、夫婦の負債がある場合は、それらをどのように分担するかも話し合う必要があります。
  • 公平な分与の考え方: 2分の1が原則ですが、特別な事情がある場合は、それが考慮されることもあります。例えば、一方が多額の借金を負っていて、それが夫婦の生活費のために使われたものであれば、分与の割合に影響を与える可能性も考えられます。
  • 専門家への相談: 財産の種類が多かったり、金額が大きかったりする場合は、弁護士や税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。客観的なアドバイスを得ることで、冷静な話し合いを進めることができます。

後悔しないために今からできること

離婚は精神的にも肉体的にも大きな負担を伴うものです。その中で財産分与の問題を抱えることは、さらにストレスを増大させる可能性があります。しかし、正しい知識と準備があれば、後悔のない解決に繋げることができます。

もし、あなたが離婚を考えている、あるいは将来のために備えておきたいと考えているのであれば、以下の点を意識してみてください。

  • 財産状況の把握: 夫婦それぞれの収入、預貯金、不動産、借金など、現在の財産状況を把握しておくことが大切です。可能であれば、通帳のコピーや契約書など、証拠となる書類を整理しておきましょう。
  • 情報収集: 財産分与に関する情報を積極的に収集し、どのような制度があるのか、自分には何が当てはまるのかを理解しておくことが重要です。
  • 専門家への相談の検討: 一人で抱え込まず、必要であれば早めに弁護士などの専門家に相談することを検討しましょう。

財産分与は、単にお金を分けるだけでなく、あなたの今後の生活設計にも大きく関わる問題です。適切な知識と準備を持って、あなたの未来を守るための一歩を踏み出してください。


財産分与に関する参考情報

  • 財産分与とは?対象となる財産と請求方法について詳しく解説 | 弁護士法人アディーレ法律事務所
  • 離婚時の財産分与とは?対象となるもの・ならないもの・計算方法を解説 | リーガルナビ
  • 「財産分与」とは?基本的な考え方や対象となるもの・ならないもの、注意点や手続きの流れまで詳しく解説 | LIDEA(リディア)
    • 財産分与の基本的な考え方から、対象となる財産、注意点、手続きの流れまで、網羅的に情報が提供されています。
    • https://lidea.today/articles/000205

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