離婚後の生活、パート収入だけで本当に大丈夫？〜賢く準備する家計シミュレーション〜

2025年8月28日 2025年8月28日

satojimusho

離婚を考え始めたとき、多くの女性が抱える不安の一つに「経済的な自立」があります。特に、現在はパートで働いているけれど、離婚後も同じ働き方で生活していけるのか、正社員になるべきか、といった悩みは尽きないでしょう。

この記事では、パート収入だけで離婚後の生活を成り立たせるために、知っておくべき現実と、具体的な家計シミュレーションの方法、そして賢く準備を進めるためのポイントを解説します。

1 パート収入の現実と、離婚後の生活費
- 1.1 パート収入の「壁」と社会保険
- 1.2 離婚後の生活費を考える
2 離婚後の家計シミュレーション：具体的なステップ
3 離婚後の経済的自立を支える3つの柱
4 離婚後のパート生活を成功させるための心構え
5 まとめ
6 関連情報リンク集

パート収入の現実と、離婚後の生活費

パート収入の「壁」と社会保険

パートで働く方が意識する「103万円の壁」や「130万円の壁」。これらは税金や社会保険料の負担が変わる年収のラインです。

103万円の壁：所得税の扶養控除の対象となるかどうかのライン。配偶者控除が適用され、自身の所得税もかかりません。
130万円の壁：配偶者の社会保険（健康保険・厚生年金）の扶養から外れ、自身で国民健康保険や国民年金に加入する必要が出てくるラインです。これを超えると、保険料の自己負担が発生します。

しかし、2022年10月からは、従業員数が101人以上の企業で働く場合など、一定の条件を満たすと、年収が106万円以上でも社会保険への加入が義務付けられるようになりました。今後、さらにこの基準は緩和される可能性があります。

離婚後は、扶養という概念がなくなります。たとえ年収が130万円未満でも、自身で国民健康保険料と国民年金保険料を支払わなければなりません。

厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査の概況」によると、母子家庭の平均年間所得は、約385万円です。このうち、就労による所得が約279万円を占めています。パート収入のみでこの金額を稼ぐのは、現実的に難しい場合が多いでしょう。

離婚後の生活費を考える

離婚後の生活費は、住居費、食費、光熱費、通信費、被服費など、多岐にわたります。特に、お子さんがいる場合は、子育て費用が加算されます。

生命保険文化センターが発表した「令和4年度　生活保障に関する調査」によると、末子が大学を卒業するまでの教育費は、私立大学に通う場合は約1,838万円、公立大学に通う場合でも約1,038万円と試算されています。

パート収入だけでは、日々の生活費を賄うだけで精一杯になり、教育費の貯蓄まで手が回らない可能性も考慮する必要があります。

離婚後の家計シミュレーション：具体的なステップ

１. 収入を把握する

まずは、離婚後の収入源を洗い出しましょう。

パート収入：手取り額を計算します。
養育費：相手から受け取る養育費の金額を確認します。養育費は、お子さんのための費用です。
公的支援制度：児童手当や児童扶養手当など、母子家庭が受けられる手当も収入に含めて考えます。

２. 支出を洗い出す

次に、離婚後に必要となる生活費を具体的に計算します。

項目	詳細	費用例（月額）
住居費	家賃、管理費、駐車場代など	5〜10万円
食費	食材費、外食費など	3〜5万円
光熱費	電気、ガス、水道代	1〜2万円
通信費	携帯電話、インターネット代	0.5〜1万円
保険料	生命保険、医療保険など	1〜2万円
被服費	衣類、靴など	0.5〜1万円
教育費	学費、塾代、習い事など	1〜3万円
医療費	通院費、薬代など	0.5〜1万円
交通費	ガソリン代、公共交通機関代	0.5〜1万円
日用品費	洗剤、トイレットペーパーなど	0.5〜1万円
雑費	交際費、趣味、美容など	1〜2万円
合計		15〜29万円

この表はあくまで一例です。ご自身の生活スタイルに合わせて、より詳細に計算してみてください。

離婚準備を進める上では、離婚後の生活費を見積もるために、現在の家計を詳細に把握することが重要です。

３. 収入と支出を比較する

算出した収入の合計額と、支出の合計額を比較します。

【収入合計】 - 【支出合計】 = 【収支】

もし、収支がマイナスになるようであれば、収入を増やすか、支出を減らす工夫が必要です。

離婚後の経済的自立を支える3つの柱

１. 収入を増やすための選択肢

パート収入だけでは収支が合わない場合、収入を増やすための選択肢を考えましょう。

正社員転換

安定した収入と福利厚生、そして社会的な信用を得られるのが正社員です。

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、女性の非正規雇用者の賃金は正規雇用者の約7割にとどまっています。この賃金格差を埋めるには、正社員転換が有効な手段となります。

正社員になることで、将来の年金受給額も増える可能性が高まります。

しかし、ワンオペ育児と両立しながら正社員として働くことは、大きな負担となることもあります。ご自身のライフスタイルと照らし合わせて検討することが重要です。

転職・再就職

パート勤務から、より時給の高い仕事や、正社員の仕事を探すのも一つの手です。ハローワークや転職エージェントを利用するなど、積極的に求人選びを行いましょう。

女性再就職支援に特化したサービスや、再就職のための職業訓練など、公的なサポートも活用できます。

公的支援制度の活用

母子家庭が利用できる公的支援制度には、以下のようなものがあります。

児童扶養手当：父または母と生計を同じくしていない児童を養育している家庭に支給されます。所得制限があります。
ひとり親家庭医療費助成制度：ひとり親家庭の医療費自己負担分の一部を助成します。
住宅手当：自治体によっては、ひとり親家庭に対して家賃補助を行う制度があります。
生活保護：働きたくても働けない、収入が最低生活費に満たないなど、困窮状態にある場合に生活保護申請を行う選択肢もあります。

２. 離婚で得られる財産を把握する

離婚時には、夫婦で築いた財産を公平に分ける財産分与が原則です。

預貯金、不動産、自動車、生命保険の解約返戻金などが対象となります。これらは、離婚後の生活を立て直すための貴重な離婚準備金となります。

相手が財産を隠している可能性もあるため、弁護士などの専門家へ離婚相談を行うことも検討しましょう。

また、相手の厚生年金や共済年金の一部を分割して受け取ることができる年金分割という制度もあります。これにより、将来の年金受給額を増やすことが可能です。

３. 専門家への相談とサポート

離婚のプロセスは、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが、賢く準備を進めるための鍵です。

弁護士：財産分与や養育費の取り決めなど、法的な問題について相談できます。
行政書士：離婚協議書の作成など、書類作成のサポートを受けられます。
ファイナンシャルプランナー：離婚後のライフプランや家計シミュレーションについて相談できます。

特に、養育費請求や財産分与など、金銭的な取り決めは、将来の生活を左右する重要な要素です。適切な金額や方法で交渉するためにも、専門家への相談を検討しましょう。

当サイトでは、離婚協議書の作成など、専門家がお客様の離婚準備をサポートするサービスを提供しています。詳しくはこちらをご覧ください。

また、離婚に関するご相談やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

離婚後のパート生活を成功させるための心構え

１. 現実的な目標設定

「パート収入だけで生活する」という目標を立てる前に、まずは家計シミュレーションを行い、現実的に可能かどうかを見極めましょう。

もし、パート収入だけでは難しいのであれば、正社員への転職や、副業など、他の選択肢も視野に入れて計画を立てることが重要です。

２. キャリアアップを視野に入れる

現在のパート勤務を続けるにしても、将来的な収入アップを目指して、資格取得やスキルアップに励むことも有効です。専門的なスキルを身につけることで、時給の高い仕事に就ける可能性が広がります。

３. 精神的なセーフティネットを確保する

離婚後生活費の不安は、精神的なストレスに直結します。

一人で抱え込まず、友人や家族、公的な相談窓口など、頼れる場所を見つけておくことが大切です。

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まとめ

パート収入だけで離婚後の生活を成り立たせるには、綿密な計画と準備が不可欠です。

漠然とした不安を抱えるのではなく、まずはご自身の収入と支出を正確に把握し、具体的な家計シミュレーションを行うことから始めてみましょう。

財産分与や養育費請求、年金分割など、離婚時にしかできないお金の取り決めをしっかり行うことも、離婚後の生活を安定させるための重要なポイントです。

一人で悩まず、専門家への相談も検討しながら、後悔のない離婚準備を進めてください。

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