離婚公正証書の作り方|手続きの流れと費用の考え方

公証役場で公正証書の手続きをする夫婦

「離婚の条件は話し合いで決まったけれど、約束を守ってもらえるか心配」「公正証書を作ったほうがいいと聞いたが、どこで何をすればいいのかわからない」——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

この記事では、離婚公正証書とはどのような書類か、作成の流れ、費用の考え方、そして特に重要な「強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)」の意味と注意点まで、順を追って説明します。

離婚公正証書とは何か

公正証書とは、公証役場(こうしょうやくば)という国の機関で、公証人(こうしょうにん)が作成する公文書です。公証役場は全国各地に設置されており、公証人は法律の専門家として国から任命された存在です。

離婚の場面では、養育費・財産分与・慰謝料・面会交流などについて話し合いで決めた内容を、この公正証書という形式でまとめることができます。口約束や私的な書面と異なり、公証人が関与した公文書であるため、高い証明力を持つとされています。

なかでも重要なのが、後述する「強制執行認諾文言」を盛り込める点です。この文言を入れておくことで、相手が養育費などの支払いを怠った場合に、裁判を経ずに財産を差し押さえる手続きへ進める道が開かれます。

作成の流れ|公証役場への相談から調印まで

離婚公正証書を作成するまでには、大きく分けて次のステップがあります。

  1. 合意内容の整理と原案の作成
    まず、夫婦間で取り決めた内容を整理し、書面(原案)にまとめます。「誰が」「何を」「いつまでに」「どのように」支払い・履行するかを、できる限り具体的に記載しておくことが大切です。
  2. 公証役場への事前相談・原案の提出
    作成を希望する公証役場に連絡し、原案を提出します。公証人が内容を確認し、必要に応じて文言の調整を行います。この段階ではまだ双方が揃う必要はなく、やり取りは電話・郵送・メールなどで進めることが一般的です。
  3. 必要書類の収集
    公証役場から案内された必要書類を揃えます。一般的に必要とされる書類については後の章で説明します。
  4. 調印日の確定と当日の手続き
    内容が固まったら調印日を決めます。当日は原則として当事者双方が公証役場に出向き、公証人から内容の読み聞かせを受けたうえで署名・押印します。やむを得ない事情がある場合は、代理人による調印が認められることもありますが、詳細は公証役場への確認が必要です。

原案の作成は自分で行うことも可能ですが、内容に漏れや曖昧さがあると後のトラブルにつながることがあります。当事務所では、提携行政書士が原案の作成サポートを行っています。

準備する書類の目安

必要な書類は事案によって異なりますが、一般的に求められることが多い書類を以下にまとめます。最終的な必要書類は、必ず担当の公証役場に確認してください。

書類の種類主な用途・補足
本人確認書類(運転免許証など)双方分が必要
印鑑登録証明書実印の確認のため。双方分が必要
戸籍謄本婚姻関係・子の確認など
年金手帳等の年金情報年金分割を含める場合に必要

上記以外にも、財産分与の対象となる不動産の情報など、個別の事情に応じた書類が必要になる場合があります。準備を始める前に公証役場または専門家に相談されることをおすすめします。

強制執行認諾文言とは何か|その効力と限界

強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)とは、「支払いを怠った場合には強制執行を受けても異議を申し立てない」という旨を公正証書の中に盛り込む文言です。この文言があると、相手が養育費などの支払いを滞らせた際に、改めて裁判を起こさなくても差し押さえなどの強制執行の申立てができるとされています。

ただし、この効力には重要な限界があります。

  • 効力が及ぶのは「金銭の支払い」に限られます。養育費・慰謝料・財産分与の金銭部分などが対象です。
  • 面会交流の実施を直接強制することはできません。「子どもに会わせてもらえない」という状況に対して、公正証書の強制執行認諾文言を根拠に直接強制することは認められていません。

面会交流については、公正証書に記載しておくこと自体は証拠として意味がありますが、履行を強制する方法は金銭の場合と異なります。この点については、事案の状況に応じた対応策の確認が必要です。

費用の考え方

公正証書の作成にかかる費用は、大きく「公証人手数料」と「書類取得・その他の費用」に分けられます。

公証人手数料

公証人に支払う手数料は、公証人手数料令という法律に基づいて計算されます。金額は、公正証書で取り決める金銭の総額(目的の価額)に応じて変わる仕組みです。たとえば養育費の総額が大きくなるほど手数料も上がる傾向がありますが、具体的な金額は事案によって大きく異なります。

正確な手数料は、合意内容が固まった段階で公証役場に確認することをおすすめします。事前に概算を教えてもらえることが一般的です。

書類取得・専門家への依頼費用

戸籍謄本や印鑑登録証明書の取得には、それぞれ自治体所定の手数料がかかります。また、原案の作成や手続き全般のサポートを専門家に依頼する場合は、別途報酬が発生します。費用の内訳や金額については、依頼先に事前に確認することが大切です。

自分で作成する場合と専門家に依頼する場合の違い

公正証書の原案は、当事者が自分で作成して公証役場に持ち込むことも制度上は可能です。費用を抑えたい場合や、シンプルな合意内容の場合には選択肢の一つとなるでしょう。

一方で、次のような場合は専門家のサポートを検討することが一般的です。

  • 取り決め内容が複数の項目にわたり、漏れなく書面化したい場合
  • 年金分割など、特別な手続きが絡む場合
  • 相手との交渉がまだ続いており、まとめ方に迷っている場合
  • どこまで記載すれば強制執行認諾文言が有効に機能するか不安な場合

当事務所では、提携行政書士が合意内容の整理から原案の作成まで一貫してサポートします。公証役場とのやり取りについても、できる限りご負担が少なくなるよう対応しています。まずはお気軽にご相談ください。

なお、当事務所が行うのは書類作成のサポートであり、相手方との交渉の代理や法的アドバイスは弁護士の業務となります。紛争性が高い場合や法的判断が必要な場合は、弁護士への相談を検討されることをおすすめします。

離婚協議書の作成をサポートしています

協議離婚相談室(佐藤事務所)では、離婚協議書・公正証書の作成をサポートしています。決めた内容を、後から争いにならない形の文章にすることが私たちの仕事です。初回のご相談は無料で、メール・電話・LINEから全国どこからでもご利用いただけます。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての法的助言ではありません。行政書士法に定められた法定業務は提携行政書士が行います。紛争性のある事案は弁護士へご相談ください。

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